86 桂川の發電所

富士の白雪と五湖の水を集めて下る桂川は鹿留、谷村、駒橋、八ッ澤等各所に其の落差を利用して、水力發電所が設けられてゐる。是等は京濱に送られ、街頭を飾るネオンサインとなり、或は飛交ふ電車又は近代文明の特色たる工場の動力ともなつてゐる。
上流明見、東桂、西桂地方には名物河海苔を産し、中流猿橋、上野原附近は鮎漁地として、近年關東一帶に亘り太公望の入谷するものが多い。
葡萄の山梨、景勝の山梨は又一方に於いて發電の山梨でもある。[# 原本では「。」がないので入れた]

(原田義勝)


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