60 淺間神社の夫婦梅

東八代郡一宮村にある。祭神は木花開耶姫で貞觀七年の鎭座、國幣中社に列せられてゐる。毎年四月十五日「大御幸」と稱し、信玄堤まで神幸の儀があり、其の行列は延々五、六粁、其の盛なること全國稀に見る所である。
境内にこの版畫に見る樣な珍しい梅がある。二つの梅が仲よくくつゝき合ってゐるので通稱夫婦梅といはれ、子なきものはこの梅を戴くことによつて必ず子寳が授けられる。神寳として後奈良天皇の御宸筆、武田信玄自筆の短册、晴信奉納の來國次の太刀、其の他古文書等澤山ある。

(矢崎好幸)


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