16 製菓工塲[# 目次では「場」となっている]の横顏

酒と煙草は止められるが菓子と縁を切ることは出來ない。ことに國民の三分の一を占むる少年少女の慾求は素晴らしいものだ。
版畫は東洋堂製菓工場の一部を示したもので、左側に見える二階建の製粉工場から、合理的な連鎖工程により、右側の工場に順次自動的に工程は進み、小麥から僅か一時間半にして、高級ピスケツトの各種が造られてゐる。年産額八十萬圓を突破し、毎日十數臺のトラツク又は汽車を利用して、日本全土及び遠くは滿洲、支那方面にも輸出されてゐる。理想的な設備と製造の超スピートには誰もが驚かされる。
葡萄羊羹、月の雫、桂の露、熔岩糖等は本縣特有の菓子として廣く人口に膾炙されてゐる。

(矢崎好幸)


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